給料もあがんねぇし、節約するしかねぇな

給料なんてあがらんし、入ってこなければ、出るのを減らすしか策がねぇのよ。

ばあさん①

あと何年かすると、私が実家で自分の親と暮らした時間より、ばあさんと暮らす時間の方が長くなる。

結婚してから、ばあさんとも一緒に暮らす様になったのは、特に深い理由なんてなくて、ただ嫁さんちが賃貸だったんで、そのままばあさんも連れてきたってだけで。

こっちは日中仕事でいねぇし、あんまり気使うタイプでもないもんで、特になんの問題もなく暮らしてこれたのは、多分ばあさんが結構、気使ってたんだろうな。

子供ができりゃあ、ばあさんが離乳食作って、幼稚園のお迎えいって、いつからか子守り全般がばあさんの仕事になってたのは、やっぱりばあさんが気使ってたんだろうな。

そんなばあさんが、膝が痛い、って言い出してからわりと短時間で動けなくなった。歩いても2センチずつ位しか進めんわけです。で、一度座るとなかなか立ち上がれなくなった。金が溢れるほどありゃあ、直ぐにでも手術させんだけどな。ばあさんもなかなかの変わり者で、病院嫌いだし、ズルズル先伸ばしになっとったわけで。


その日の夕食も皆でちゃぶ台囲んで食べてて、ばあさんも座って、一番下のチビに飯をあげてました。

ふと見るとそのチビのオムツがパンパンなわけです。どんだけ吸い込んだんだ、って位、オムツのポリマーがチビの小便吸い込んどるわけ。

昔のオムツ事情は知りませんが、少なくとも今のオムツはかなり優秀で、結構吸います。大分吸い込みます。

ただ何事にも限度があって、ある臨海点に達すると、全てを放出します。ちょっとにじみ出る、って感じじゃなく、破裂、ってぐらい溢れ出てきます。

ポリマーにしたら、
「もう、よくね、俺ら充分頑張ったんじゃね」
って感じ。
こっちも、
「お前ら、良くやったよ、もう十分頑張ったよ」
なんて励ましたくなるほど。

臨海点がちかいな、と。チビのオムツの臨海点がかなり近いなと。ばあさんが気付いたわけです。

新しいオムツを取りたいんだけど、ばあさんの手の届くとこにはオムツが無いわけ。昔なら自分で取りに行ったんだけど、今は膝が痛てぇわけ。2センチずつしか進めねぇし。

で、取りたいオムツに一番近いとこで、うちのボウズが飯を食ってるって状況で、

ばあさん「ボウズ君、チビのオムツとって」
ボウズ 「今俺、しじみ食ってるから」
ばあさん「はぁ? いや、だからオムツとって!!」
ボウズ 「だから、俺、今、しじみ食ってるから」

その日の晩飯は不幸にもしじみの味噌汁でした。うちのボウズはしじみの身を、指でこじって食べてて、要は、手がベチョベチョだからオムツなんか取れねぇよ、って言いたいのだが、言い方が雑なのは、ボウズも反抗期だから。

で、オムツ、しじみ、オムツ、しじみ、って禅問答の様なやり取りがどれくらい続いたんだかな。臨海点に達したのは、オムツじゃなくて、ばあさんだった。

一番座ったら立ち上がれないばあさんが、2センチずつしか進めないばあさんが、すっ、と立ち上がって、ボウズの頭を、パチコーン、とひっぱたいた。
あんなにうつくしい平手打ちを私は知らない。

「オムツしじみ事件」を境にばあさんはいよいよ動けなくなり、昨日入院して、さっき手術が成功したって嫁さんから連絡ありました。

ばあさん、頑張ったな。気使わず、早く帰ってこいよ。

8/8 470円 暑すぎで飲み物

8月合計 12107円